よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

堤未果著『(株)貧困大国アメリカ』

今年の6月末に出版された本です。市民館にリクエストを出した時点ではまだ市の図書館は未購入でした。なかなか連絡が来ないので途中ネットで調べると、すでに貸し出し希望が何件か入っています。私は何番目だったのか、希望してから1か月ほどたった一昨日連絡があり早速借りてきて読み終わりました。

強い人間であることを自覚している私ですが、途中であまりの恐ろしさにくじけそうでした。ニュースでアメリカ市民が「We are 99%」と書いたプラカードを持ってデモをしている様子もよく見ていますし、市場経済とか弱肉強食とか資本主義の怖さはある程度分かっているつもりでしたが、現状はそんな私の知識のはるか上を行くすさまじいものでした。

1%の富裕層が議会も政治家(大統領さえ)もマスコミも飲み込んで、人々の知らない間にどんどん自分たちグローバル企業が仕事しやすい市場に変えていっているのです。アメリカに留まらずいまや世界中をターゲットに・・・。TPPは時代の流れ、抗っても仕方ないのではないかなどと考えていましたが、ハンマーで頭を殴られたような気がします。

本や映画の中に出てくるモンスターなどこのグローバル企業のえげつなさに比べたらまだ可愛いとさえ思います。でもこんなに恐ろしい勢いで世界中を食い物にして、いつかは中国もインドもアフリカも食い尽くしてしまったとき、1%の富裕層はどうするのでしょう。タコのようにもう自分の足を食べるしかないのでは?と思ってしまいます。中世以前のようにごく一部の貴族と圧倒的に貧しく搾取され続ける市民の世界に戻るのでしょうか。

めげずに最後まで読み通したら、278ページ中の23ページ、エピローグとあとがきで著者は希望を持たせてくれました。感動的な締めくくりで「1%の横暴に負けてたまるか!」という気持ちにさせてくれます。方法は当たり前ですが、知識と連帯です。一人一人は弱いちっぽけな存在でも、なんといっても99%です。数では圧倒的なんです。彼らがグローバルに連携して富を吸い上げるように、私たちもインターネットという現代の便利な武器で戦えるということを実例を示して呼びかけています。

まずは自分たちの回りに何が起きているかを知りましょう。安全な生活には適正な対価や労力が必要なのです。ただむやみに「安い!」と喜んでいたり、政治や世の中の出来事に無関心でいるのでは、ある日気付いたら全てを特権階級に吸い取られ一生返済しきれない借金地獄に落ちていたということになるかも知れません。

まずはひとりでも多くの方にこの本を読んでもらいたいと思います。実はこの本は三部作の完結編なのですが、これ一冊読むだけでも十分です。