よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

薪能たんのう。

開演を待つ間わずかに雨がぱらついたのでドキドキしましたが、幸い昨夜の薪能は無事屋外で全プログラムを終えることができました。主催者側はあの天気のため体育館と公園と両方に準備をしたそうで、さぞ大変だったことと思います。

さすが"世界的なパーカッショニスト"と言われる方の演奏です。魂を揺さぶられるような感動を覚えました。十数種類の楽器を自在に使って幽玄な世界を作り出します。おそらく打楽器というのは人類最初の楽器ではないかと思うのですが、その原始性や根源性の魅力を感じました。能という古い芸能ともとても相性が良いように思います。同時に根源的であるがゆえにいっそう宇宙的な感じもし、創作能とあいまって「コスモロジー」と銘打つにふさわしいコラボレーションでした。

このコラボの上演は3回目にして屋外は初めてとのことでしたが、屋外で鑑賞できた私たちは幸運だったかも知れません。音響効果の点では劇場に分があるかもしれませんが、黒い夜空に天守閣(に見立てた実は隅櫓ですが)が重々しく浮かび上がり、篝火が燃えるという道具立てはこの作品の魅力を倍増していたと思います。

能楽師の中所宣夫さんも、終わる頃には着物が汗でぐっしょりのまさに熱演(冷房もない屋外でさぞ大変だったことでしょう)でした。伝統を受け継ぎながら、こうした新作にも果敢に挑戦していくことは大変でしょうがとても大切なことでもあるでしょう。

主催者のNPO法人三河三座は古典芸能の交流や発展をはかるのが目的ということで、今回新城狂言同好会と新城能楽社の方々が出演してくださいました。豊橋にも戦火をくぐって能の面や衣装が保存されているのだそうですが、演じ手は途絶えてしまったそうです。新城は豊橋よりずっと規模の小さな自治体なのに、脈々と文化が受け継がれていることに驚きと尊敬の念を覚えます。

会場が街中なので終演後大勢の観客が感想を語り合いながらゾロゾロと市電の電停まで歩いていたのですが、これも芸術鑑賞後の醍醐味です。駐車場たっぷりの市内の別の会場の場合は、帰りは駐車場脱出競争みたいになって、コンサートのあとなども余韻に浸るどころではありません。便利と味気なさ、無駄と味わいは表裏一体。どこでどちらを選び取っていくかが問題ですね。

心に貯金ができた感じの週末でした。