よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

「源氏物語 千年の謎」を観てきました

出掛ける前にいちおう主要キャストだけでも見ようか(どの部分が描かれるかも分かるし)と思い、公式サイトをチェック。
観るのを止めようか・・・と思ってしまいました。でもせっかく久々に映画館に行こうという気になったのだし、身支度もしたんだし、まっとにかく豪華なセットや衣装を見るだけでもいいじゃないと、行ってきました。


悪い予感的中でした。制作側はこの映画で何を描こうとしたのでしょう。いまさら「千年の謎」とたいそうに謳うほどのミステリーがあるわけでもなく、光源氏の孤独も藤壺の苦悩も中途半端。紫式部藤原道長の方のストーリーも半端で、登場人物の描き方が全て浅くて魅力が感じられず、したがって感情移入もできず、感動も何もありませんでした。

そもそもキャスティングが失敗だと思います。葵の上の多部未華子さんは平安女性では全く彼女の魅力が出せず、しかも気位高い葵の上はないでしょう。むしろ夕顔の方がまだ合っています。すなおで頼りなげな夕顔も、芦名星さんというのは私としてはちょっと残念。

準主役ともいえる扱いの六条御息所田中麗奈さん。「なっちゃん」の印象が強い彼女ももう三十代なのですね。あまりに若すぎる!と思って今回調べて知りました。でもやっぱり若すぎる。十いくつも年下の光源氏を愛し、そして顧みられなくなった御息所の哀しみを演じるにはあまりに若すぎます。

そして源氏が母の面影を重ね慕い続ける藤壺真木よう子さん。もっと美しく雰囲気のある女優さんがいっぱい居そうなのに、なぜ?平安時代の女性の美しさは顔もさることながら、声や話し方も大切な要素だったのに、この女優さんは残念なことに声があまり良くありません。現代のバリバリ働く女性などだったらいいのかもしれませんが、声も早口気味の喋り方もがっかりでした。御息所や藤壺などのキャスティングが違っていたら、同じストーリーでももう少し深みが出たかもしれません。

主人公の光源氏はこの世ならぬほどの光り輝く美しい人なので、誰が演じてもむずかしいと思うのですが、生田斗真さんはまずまずの美しさ。ただ、まっすぐすぎるというか、真面目すぎるというか、もうすこし色気がほしかったですね。


朝10時からの回で、会場は2〜3割の入りといった感じで、若い女性もいくらかいましたが、多くはやはり年配、私より上の世代と思われる人も多かったです。私でもこのキャストにかなり違和感を感じる(正統派日本美人がほとんどいない)のですから、あの方たちの感想は推して知るべしと言えるでしょう。それとも制作側は最初から私たちのような年齢層など期待していなかったのでしょうか。

源氏物語は作品があまりにも巨大で、映像化するのはやはりとても難しいのだと再認識させられました。千年も昔に、しかも女性が、このような壮大な物語(決して恋愛だけではない)を生み出したということは、同じ日本女性として本当に誇らしいことです。また明日から通勤の電車の中で、円地文子さんや与謝野晶子さんの源氏の世界を楽しむことといたしましょう。