よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

使命と魂のリミット

東野圭吾さんの作品は結構読みましたが、この作品は知りませんでした。先週の土曜日9時は興味のある番組が重なって迷った(宮部みゆきさんの『火車』はとても感動した本だったし)のですが、結局NHKのこの作品を選び、そして後編を見たいま、満足しています。

引き締まったいいドラマになっていました。舘ひろしさんのお医者さん役はちょっと意外な感じはしましたが、結果的にはなかなか良かったです。相島さん、吹越さん、相変わらず素晴らしい脇役ぶりでドラマに深みと渋みを添えていました。でも、それ以上に驚いたのが主役の石原さとみさんです。自分の父親の手術でわざと失敗して死なせたのではないかという疑惑を抱く教授に怒りをぶつけるシーンでは、本当に顔の筋肉や血管の一筋一筋が怒りを表しているようでした。泣く場面でも抑えた演技なのにそれが却って見る側に深くしみこんでくるようで、こんなにいい女優さんだったんだと感心しました。

速水もこみちくんもただかっこいいだけの俳優さんではなくなって、コミカルなものから今回のような哀しみを感じさせる犯人まで演じられる楽しみな男優になりました。ビルの屋上にたたずむシーンでは投身なんてしないで!と心配しましたが、ちゃんと自首して、自分を案じてくれる倉科カナさん演じる看護師さんとの未来(きちんと罪を償ったのち)を感じられる展開で安心しました。


人間それぞれに与えられた使命。大小、軽重の違いはあっても、それを全力で全うすることの大切さ、尊さを思いました。停電の中で難しい手術を続行する医者と看護師たち。もちろん執刀医の教授はりっぱですが、末端で支える懐中電灯で照らし続ける看護師まで、それぞれがそれぞれの使命に忠実であって初めて成り立つのです。

子どもたちが巣立っていき、長いこと続けていた音訳ボランティアもやめてしまい、このところの私は自分が何をなすべきか分からなくなりかけています。誰かに強く必要とされたり、強い目的意識をもって行動することに生きがいを感じる傾向があるので、今の自分に存在意義はあるのかと疑問を感じてしまったりします。それで無理にでも、今は母やおばあさん猫たちのために自分がいなければ・・・と言い聞かせ納得させているのかもしれません。できれば母も猫たちも私を必要としなくなるまでに、今の自分なりに全うすべき「なにか」を見つけたいものです。