よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

SASUKE 2011秋を見て思ったこと

昨日は見終わったら大急ぎで寝なくてはいけない時間で、論評している暇がありませんでした。今までもこんなに長い時間放送されていたんでしょうか。2週とかに分けて放送されていたような気がします。こんなに長時間付き合えないと思い見なかったのですが、やはり気になってNHKのニュースウオッチ9の後から見ました。

知識を問うクイズが良くできて、知性を感じさせる男性は素敵だなと思います。やはり男の人は精神的な強さと知性だ!なんて思うのですが、その一方でいつもサスケのような力や運動能力を必要とするものを見ると、やっぱり強い男性もかっこいいなあ・・・と思ってしまいます。

今回ファイナルステージまで進んだ22歳の左官業の若者は、小学生の時からサスケに憧れ完全制覇を夢見てきたそうです。こういう少年が他にもたくさんいそうです。この番組を見て、世の中の仕事はサラリーマンだけじゃないんだなと知る子どもも多いのではないでしょうか。過去にどこやらの役場員がかなり好成績を残したこともありましたが、活躍する人の大半はいわゆるブルーカラーに属する人たちです。そうした仕事に注目する機会はあまり多くないので、こういう場で多くの人の目を引き、「カッコイイ」と思われることは意義深いと思います。

何年か前に村上龍さんの『13歳のハローワーク』という本が話題になりましたが、確かに現代の子どもたちにとってはいろいろな職業が見えにくくなっています。私が子どものころは近所の空き地に行けば左官さんが壁を塗るための泥を練っていたり、大工さんがうっとりするように薄くてふわふわの鉋屑を出しながら、材木を削っていました。八百屋さんにお使いに行く途中、畳屋さんの店先でおじさんが太くて大きな針を見事に操る仕事ぶりを見ることができました。自転車でパフーパフーと売りに来る豆腐屋さんのところにお鍋を抱えて買いにいくと、自転車の荷台には水の入った大きな箱がついていて、その中に隙間なくビッシリ並んだ豆腐を全く崩すことなくあざやかにすっと1丁すくって、お鍋に入れてくれます。あんなふうにあたしもやってみた〜いといつもうっとりしました。

こうした小さなことが積み重なって、大人への敬意も自然に育ったように思います。でも今はそうした仕事の多くは工場の中に隔離され、子どもの目には触れなくなってしまいました。そして世の中にどんな仕事があるのかも分からないまま、ひたすら勉強して上の学校へ行き、大きな会社に就職するのがゲームの上がりという感じです。これではごく一部の子を除いて、学ぶことや大人になること、働くことに夢も興味も持てなくなってしまいます。

私は職人という職種にとても憧れを感じるのですが、こういう仕事の分野は15歳くらいまでに始めないと、本当にいい仕事ができるようにならないものも少なくないそうです。ただ周囲に流されて高校に進み、なんとなく大学に入り、あれ、なんか違う・・・と気付いた時にはすでに選べなくなってしまう仕事も多いということです。もしかしたら何かのすごい匠になれる素質があったかもしれません。

以前教育テレビ(現在のEテレ)で「大人の試験」とか「美の壷」(これは今も続いている、少し傾向が違ってきているように思うが)、技能オリンピックで受賞した若者たちを紹介する番組などを見た時に、子どもたちがこういうものを見たら、自分の仕事を考える時にとても参考になるんじゃないかと思いました。残念なことにEテレの番組が多くの人の目に触れることはあまり期待できません。教育臭を抜いて、サスケみたいにショーアップして楽しく見せる工夫が必要です。

多くの視聴者が飽き飽きしているバラエティーやトークというタレントの内輪話はいい加減にやめて、こうしたプロフェッショナルの素晴らしさをうまく見せる番組が増えれば、現在の知育偏重主義や求人求職のミスマッチの問題などにも少しは風穴を開けることができるかもしれないなどと思うのですが・・・。