よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

息子よ

今日はあなたの誕生日。
奥さんと仲良くお祝いをしていますか。

あなたが子どもの頃、
私はお誕生日のお祝いの席で
「1年分成長したのかな?ちゃんと祝ってもらう資格ある?」
なんてよく言いましたね。
ほんとは親の方が
「また1年無事にそばにいてくれて、楽しませてくれてありがとう」
なんだけどね。

振り返ると親として反省すること、悔やまれることばかりです。
言葉も習慣も違う土地で舅姑と同居となったとき、あなたはまだたった1歳でした。
せめて3歳まではそばにいたいと思ったのに、
あなたを早くから保育所に入れて働きに出なければなりませんでした。
一緒にいる時間も短ければ、自分の考える育て方も思うようにできませんでした。

あなたの小学校の卒業式の日に私は役場に離婚届を出し、
あなたは幼馴染の仲間と一緒に中学生になることができませんでした。
1学年1クラスしかない小学校から突然12クラスものマンモス校に進学、
しかもあなただけがその中にたったひとりの知り合いもいないというスタートでした。

あなたが高校生になる時、私の故郷に帰って来て、
あなたはまたたったひとりのスタートを切ることになりました。
友人がいてさえ悩み多い多感な時期に、過酷な環境にしてしまいました。
それなのにあなたはひとことだって私に文句も恨みごとも言いませんでした。
どんどん新しい友人を作り、いつも我が家の笑いの源でした。

大学時代の途中で音楽の楽しさに目覚め、
勉強していた美術を放り出して音楽をやっていきたいと言い出したとき、
大変な道だけれど、将来のリスクまで覚悟の上の決心なら、
心から応援しようと思いました。
そして長いことあなたの第一番の応援団という気持ちで来ました。


あなたに良い伴侶ができて、私も安心して応援団長を降りることができました。
人と人が一緒に暮らしていくことは難しいことです。
私みたいな我侭な者は、自分の分身と暮らしても文句を言うんじゃないかと思うくらいです。
でも、やっぱりふたりなら苦労は半分に、楽しさは何倍にもなるものだと思います。

あなたの夢をかなえるために全力で応援してくれる奥さん、ありがたいですね。
でも、ずっと付き合っていかなければならないような病気を得てしまった以上、
あなたも考え直さないといけないでしょう。
なにが今のあなたの夢なのか。
大切にすべきものはなんなのか。
捨てきれない夢ならば、今の条件の下でどれほどがんばらなければならないのか。
自分がそれに耐えるだけの覚悟があるのか。
たとえ夢を諦めるとしても、今までの十数年分の出遅れを取り戻すことはやはり簡単なことではないはず。
どっちにしろ、覚悟してかからなければなりません。

あなたは甘ったれだから、寂しい人生になったらさぞ辛かろうと案じています。
あなたが年とって、もし寂しい境遇になっていても、
もう私は応援してあげられません。
大切なものを見誤らないよう祈っています。