よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

本、動画等感想

ありそうな近未来に鳥肌『プラチナデータ』東野圭吾著【追記アリ】

少し前に嵐の二宮君主演で映画化されたようなので、ストーリーはご存知の方が多いかもしれない。テーマは国民のDNAをすべて登録してデータベース化し、犯罪捜査に使うというものだ。 単に現場に残された証拠物件と容疑者とのDNAを分析するのではなく、…

人生が楽しくなる!『住み開き』アサダワタル著

自宅の一部を、カフェやギャラリー、イベントスペースなどとして地域に開く提案と、各地の実践例を紹介した本。著者は1979年生まれの「日常編集家」という不思議な肩書の若者だ。 駅前のスタンディングや集会&パレードなどの今までの活動に限界を感じて、次…

『滴り落ちる時計たちの波紋』から『最後の変身』平野啓一郎著

平野さんの作品を初めて読んだ。非常に若くして芥川賞を受賞した方と記憶している。ほんの少し前のことと思うのだが、現在はすでに40歳を過ぎている。この『滴り・・・』は2004年の発行なので、著者30歳くらいの作品か。かなり老成した作家が書いたのではないか…

『不思議なクニの憲法』上映会とコグニサイズ教室

松井久子監督の映画『不思議なクニの憲法』の上映会。ほんの半月前、地元の大学で「選挙に行こう」のスタンディングアピールを実施した日に「若い仲間からやりませんかって声が出ているんだけど、一緒にやりますか?」とメンバーの一人から話が出て、なんだ…

浅田次郎著『黒書院の六兵衛』はthe LAST SAMURAI

以前雲龍さん(id:umryuyanagi104)が感想を書いていらした『黒書院の六兵衛』。雲龍さんに「此処まで昇華された武士道は筆舌に尽くしがたく感無量」と言わしめた武士にとても興味が湧き、いつか読んでみたいと思っていたもの。 雲龍柳さんのレビュー: http:/…

久々のアメリカ映画『マネーモンスター』

映画というのは不思議なもので、見始めるとドンドン続けて見に行くのだけれど、一旦離れるとズッーッと見なくなってしまったりする。もっとも、これは私だけのことかも知れない。上映開始時刻の15分前に家を出て、歩いて行って間に合ってしまうという恵まれ…

不器用で優しい人たちの物語『にじいろガーデン』小川糸著

『食堂かたつむり』や『つるかめ助産院』の著者の作品である。好悪別れる作家かも知れない。いささか少女趣味と感じる方もいることだろう。しかし、私は好きだ。結構おとぎ話っぽい設定があり、自己陶酔を感じてしまったらとても受け入れられないと思うけれ…

今野敏著『隠蔽捜査』は堅物男、竜崎の魅力

今この瞬間も、熊本では不明者を必死で捜索してくれている消防隊員や警察官や自衛官がたくさんいる。市役所で役場で、自分のことは後回しで懸命に働いている公務員がいる。 どうしてもニュースなどの表面に出てきて公務員が目立つのは、不祥事であることが多…

行き当たりばったりを反省と『波王の秋(とき)』

仕事を辞めてまもなく丸三年になる。このあたりでちょっとこれまでの生活を振り返ってみると、当初は自堕落な生活になってはいけないと思い、一日のスケジュールや一週間の予定を立てたりしたのに、いまやすっかりぐうたらな毎日になってしまっている。 だい…

『中野のお父さん』北村薫著

まず最初に私の無知と粗忽さを暴露せねばならない。 『マークスの山』のあの薫さん、こんな軽快なものも書かれるんだ・・・と驚いた。でも、あまりにも違い過ぎる・・・。それもそのはず。あちらは高村薫さん。こちらは薫さんは薫さんでも北村さんだ。とんだ勘違い…

『猫弁ー天才百瀬とやっかいな依頼人たちー』大山淳子著

おととい、「マスコミを殺さないで」のスタンディングの告知を市内の各新聞社にファックスするためコンビニに行ったとき、帰りに市民館の前を通ったので、久しぶりに寄ってみた。仕事を辞めてからというもの、少なくとも週に1回程度は行って本を借りていた…

『代表的日本人』でも内村鑑三でもなく、若松英輔さんという人、そして猫

「100分で名著」に触発されて『代表的日本人』を読んだ。そして確認できた。私があの番組にあんなに感動したのは、西郷隆盛の人柄でも、『代表的日本人』を書いた内村鑑三でもなく、解説をした若松英輔氏に対してだったのだ。 どうしてあれほど深く読むこと…

弁護士さんが作った映画『日本と原発』

今日の午後は盛りだくさんな一日となった。昼食を終え、日米地位協定がテーマの「ピースカフェ」へ。講演と討論(グループワーク形式)でたっぷり3時間。終わったら4時半を回っていた。このあとの映画が5時からなので、一緒になったスタンディングのメン…

沖縄は再び戦場になった、映画『戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)』

おととし9月に見た映画『標的の村』の三上智恵監督の最新作『戦場ぬ止み』の上映会に行って来た。 前回の映画の感想はこちら yonnbaba.hatenablog.com 副題に「沖縄は再び戦場になった―」とあるけれど、映画を見るとまさしくこれは戦争である。ただし沖縄側…

今年最初の読書『フェルドマン博士の日本経済最新講義』

アルファブロガーちきりんさんが年末に推薦していた本。彼女の紹介で一気に注文が殺到したのか在庫が底をつき、手元に届くのに大分日にちが掛かった。 著者のロバート・アラン・フェルドマン氏は、ワールドビジネスサテライトのコメンテーターなどもなさって…

ビギナーズラックと映画『みんなの学校』

そもそも自分が短歌を作ることになろうとは、今年の初めには夢にも思っていなかった。勧めてくださる方の熱意に負けて、自分にはクリエイティブな才能はないけれど、広く深い日本語の世界に触れているだけでもいいかなと思い入会した。 短歌の何たるかも分か…

『ノラや』を読んで百閒先生に嫉妬する

以前ゑぽむさんにお教えいただいた本。内田百閒著『ノラや』を読んだ。 わたくしごときが百閒先生と競ったとてせんないことなのですが、改めて筆力の違いを思い知らされた。百閒先生はノラと1年半しか一緒に暮らしていないのに、どうしてこんなにノラの愛ら…

『浮浪児1945- 戦争が生んだ子供たち』石井光太著

著者は今までアジアや中東やアフリカの貧しい国々を取材し、貧困、紛争、犯罪といったことのルポルタージュを書いてきた人だ。そうした中で多くのストリートチルドレンを目にした。ところが、そうした国々でもその国が経済発展をすると、わずか1年、2年と…

新しい浅田さんに戸惑う、『ブラックオアホワイト』浅田次郎著

やはり、たとえ宮部みゆきさんでも浅田次郎さんでも、はずれはあるのだなと知った。もちろん自分の好みの問題であるのだろうけれど。 宮部さんは『英雄の書』であり、浅田さんはこの『ブラックオアホワイト』だった。 今まで浅田さんの作品は読み始めるとす…

『愛のひだりがわ』筒井康隆著 犬と話す少女の冒険と成長

不思議な題名だけれど、愛という名前の少女と、彼女の左側に寄り添って彼女を守るものたちが次々に登場する、冒険と成長の物語だ。 小学6年生の愛は、小さい時野良犬にかまれ、しかもその時の治療が適切でなかったために左腕が不自由だ。父親は事業に失敗し…

堤幸彦監督『くちづけ』 誰もが当たり前に幸せを求められる社会に

夕方5時半、スタンディングするのなら家を出る時刻だ。でも、今日は休ませてもらうことにする。日曜日は「ソングスペシャル」。平日は仕事の都合で参加不可能な保育士さんたちが先々週の日曜日あたりから参加してくれて、日頃子供たちと歌っているお得意の歌…

たまにはお題に応えてみよう

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」 このところ政治に頭が占められて視野が狭くなっている。それでなくともあまり変化のない生活をしているのに、さらにブログのテーマも偏りつつあるように感じているので、たまには目先を変えてお題で書いてみる。と言っ…

『満州難民』三八度線に阻まれた命 井上卓弥著

今まで手記や小説に描かれた満州引き上げの話はだいぶ読んできたけれど、戦後70年の節目に出版されたこの本は、おそらく「初の本格的ノンフィクション作品」ということで手にした。 1945年8月9日、ソ連軍が国境を破って満州に侵攻した。この日を境にして大陸…

『旅猫リポート』有川浩著 ハチに似た猫ナナのお話

読み終わってから一週間ほどたってしまったけれど、どうしてもこの本のことは書いておきたい。 題名も村上勉さんの表紙も楽しそうな感じがして、猫だし、この雰囲気だし、心がほっこりするようなお話かな?と思って手にした。「吾輩は猫である。名前はまだ無…

映画『人の望みの喜びよ』

インディペンデントの本作、主役の姉弟の姉を演じる大森絢音さんが豊橋出身(というか在住)という縁で、穂の国とよはし芸術劇場プラットのアートスペースにて本日3回上映。本来は2回だったのだけれど、チケットの売れ行きが好調で急遽3回に増やされたの…

権力はかくも暴走する『時代の正体』

予約をしておいた本が届いた。神奈川新聞取材班による『時代の正体ー権力はかくも暴走するー』である。 「立ち上がる若者たち」としてまずSEALDsを紹介し、沖縄や横須賀の米軍基地の問題に進み、ヘイトスピーチを論じ、「戦後70年」の歴史のとらえ方や教科…

さらに『しのびよる破局』辺見庸著

この本はまだ東日本大震災も起きていない2009年に出版されたものだ。けれども今読んでもまるで違和感を感じない。「ああ、これは解決されてしまったな」とか「現在は軌道修正されているな」とか思えることがほとんどなかった。つまり我々にはますます破局が…

今読むと妙にリアルでこわい『日本難民』吉田知子著

なんだかよく分からないけど、ある日突然連合国が日本を抹殺することにして攻撃を始める。情報は入っていたらしいのに、どうやら政府はそれを軽視していたらしい。動揺を恐れて国民には一切知らせなかった。いや、そんなことあり得ないと思っていたらしい・・・…

『漱石の長襦袢』半藤末利子著

キンドル版で半藤一利さんの『昭和史』を読んでいるときに、市民館の図書室で奥様のこの本と遭遇した。もうこれは読むしかないでしょ、と借りて来た。 私は特に漱石ファンではないけれど、割合と漱石の本は読んでいる。若い頃、日本の作家の小説はどうも陰気…

変人中年ヒーローの『隠蔽捜査』今野敏著

昨 年の冬ドラマで杉本哲太と古田新太のダブル主演で放送され、視聴率は芳しくなく、結局この後しばらくして月曜8時(水戸黄門の後の枠)のTBSのドラマ枠自体も消滅してしまった。 でも、この『隠蔽捜査』は間違いなくとても良い作品だった。脚本も矛盾やご…

魅力的な沖縄の女性(ひと)『星の衣』高橋治著

小さめの活字でしかもページ数は600ページ近い長編だけれど、引き込まれて結構短期間に読んでしまった。1996年の吉川英治文学賞受賞作。 年代の違う二人の沖縄の女性が主人公で、物語はその二人の視点で交互に進んでいく。二人には沖縄という以外接点はない…

スカッと爽やか!『任侠学園』

梅雨時の憂鬱をスッキリ爽やかに解消する本を・・・とご紹介しようと思っていたら、天気の方がひと足先にスッキリしてしまった。 警察小説で有名な今野敏さんの任侠シリーズものだ。『隠蔽捜査』やボディガード工藤を主人公にしたハードボイルドものと違って、…

久々に普通の格好してるジョニー・デップ

というタイトルにしたけれど、そもそもこの映画は今から10年前の作品だ。普通の格好の役柄の彼を私が久々に見た、ということだ。作品は『ネバーランド』。 世界中知らない人はいなんじゃないかというくらい有名な『ピーター・パン』の原作者ジェームス・バリ…

死よりむごい運命 『ルール』古処誠二著

舞台は第二次大戦下のフィリピン。左耳を半分失った中尉鳴神と、背中に雲龍の彫物を入れた軍曹姫山、平和な世であれば寺を継いで美しい僧侶になっていたであろう一等兵八木沢。この3人の日本兵を中心に、戦争末期、最も苛酷だった時期の苛酷だった場所に置…

『四十九日のレシピ』伊吹有喜著

何年か前にNHKのドラマで見たがとても良かったので、市民館の図書室でこのタイトルを見つけて迷わず借りて来た。 主人公は突然妻に先立たれた初老の熱田(ドラマでは伊東四朗)か。彼はかつて最初の妻にも2歳の娘を残して死なれている。その娘も嫁いでいる…

『おだまり、ローズー子爵夫人付きメイドの回想ー』華麗なる貴族の世界

アメリカ生まれでイギリス子爵夫人、そしてイギリス初の女性国会議員だったというレディ・アスターという実在した人物と、そのお付きメイドとして35年間を共に過ごしたロジーナ(ローズ)・ハリソンという、女性二人の物語だ。 ちょうどテレビドラマ『ダウン…

宮本輝さんのエッセイ『いのちの姿』

宮本さんの小説は大分読んだけれど、エッセイは初めて。そもそもエッセイというジャンルの作品をこのところ避けていたのだが、どなたかのブログでこの書評を読み興味を持った。 とても良かった。とりわけ冒頭の数編は親子兄弟といった家族の情愛と、血のつな…

昭和30年の女優、男優たちー映画『あした来る人』を見て

目にした時刻が信じられず、思わず柱時計を見直した。もう5時近い?!そうか、おやつの頃からGyaoの無料映画を見始めたのだから、不思議ではない。随分日が長くなったものだ。 『あした来る人』という1955年の日活の作品を見た。山村聰さんが白髪で恰幅の良…

不幸の分だけちゃんと幸せになるよ・・・シエの優しさに泣く

浅田次郎さんの短編集『姫椿』を読んだ。浅田さんは『蒼穹の昴』のような長編も素晴らしいし、映画にもなって広く知られている『鉄道員』のような短編も素晴らしい。十数年前に出されたこの短編集には心温まる8編が収められているのだけれど、いきなり冒頭…

一途な思いが胸を打つ『いとしの儚100days LOVE』を見た

東三河の演劇団体合同の公演『いとしの儚(はかな)』を見に愛知御津まで出かけた。豊橋駅からJR東海の下り普通列車で2駅目。会場のハートフルホールはその駅から徒歩10分とのこと。スマートフォンであらかじめ会場までのアクセスを検索し、一番分かり易…

素敵な熟年男優5人の『海をゆく者』

小日向文世、吉田鋼太郎、浅野和之、大谷亮介、平田満、の5人だけの舞台。男くささ(舞台は別の"臭さ"が設定されていて笑えるのだが)ムンムンで、ほとんどみんなアル中状態のしょうもないオヤジばかりなのだけれど、それぞれとても魅力的だった。でもやっ…

『真実の「わだつみ」』学徒兵木村久夫の二通の遺書

8月にnumapyさんがブログで紹介していらした。新聞の書評欄などでも紹介され、図書館では順番待ちだった。木村久夫さんは京都大学(当時は京都帝国大学)の学生の時に応召、結核で一時陸軍病院に入院するも、半年余で退院しインド洋のカーコニバル島に配属…

恐るべし、演劇老人集団「さいたまゴールド・シアター」

団員の平均年齢75歳という「さいたまゴールド・シアター」の『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』を、豊橋芸術劇場プラットで見た。なんとエネルギッシュで前衛的!被告役の2人を除いて、ほとんど出ているのは老人ばかりだ。役柄も老人だけれど、演じているの…

優しい妖怪バンブーのお話『ほんとうの花を見せにきた』

著者は桜庭一樹さん。なんて繊細な感性を持った男性だろうと感心しながら読んでいたら、女性だった。やっぱりねえ。本の半分余りを『ちいさな焦げた顔』という第一作が占め、表題作は二番目で50ページほどの短編で、三作目もほぼ同じくらいの短編『あなたが…

重松清の描く阿久悠『星をつくった男』

重松さんが阿久悠さんをモデルに書いた小説だと思って手に取ったが、ノンフィクションの評伝だった。書かれる阿久さんという人間も魅力的なのだろうが、やはり重松さんの筆力に負うところも非常に大きく、素晴らしい人物評論であり時代評論になっている。 8…

猫が残念!『女系の総督』あとちょっと言葉・・・

藤田宜永さんの作品。この方は小池真理子さんのご主人なのですね。この本を書くヒントになったのもその奥様(ふたり姉妹)なのだとか。 この著者の作品を読むのは初めてで、何となく名前の感じから堅そうなイメージだったので、へえ、こういう柔らかなものを…

『櫻の園〜最後の楽園〜』豊橋演劇塾の公演です

『櫻の園〜最後の楽園〜』あまちゃんでも女優としての存在感を発揮した木野花さん作の演劇。穂の国豊橋芸術劇場(プラット)で今日と明日、豊橋演劇塾によって上演される。 2週間ほど前、去年数か月在籍して結局すぐ退団してしまい、ご迷惑をおかけしただけ…

『クローズアップ』今野敏著、と・・・。

テレビ局の報道部記者布施と警視庁の黒田刑事を中心とするシリーズの3作目の作品。長年の与党から政権交代で野党第一党となった政党の大物政治家と、反社会的勢力の癒着の闇を暴くストーリーは、実際にもこんなことはあるかも・・・と思わせるに十分なリア…

『赤目四十八滝心中未遂』車谷長吉著

社会の底辺に暮らす人々の猥雑な風景を描きながら、実に清らかな話だという印象を受けた。有名大学を出ながら会社勤めの生き方になじめず、自ら無頼の世界に落ちていく主人公生島も、その生島が惹かれていく美貌の女アヤも、ずるく立ち回る気になればもっと…

宮沢賢治をひとり語り 林洋子さんの世界

長年宮沢賢治の作品のひとり語りをなさっている、林洋子さんの舞台を見に。会場は穂の国豊橋芸術劇場(プラット)のアートスペース、200席余のこぢんまりした空間なので演者との距離が近い。開演時刻が来て場内が暗くなり、チリーン、チリーンと澄んだ鈴の音…