よんばば つれづれ

民主主義を機能させる、自立した「ひとり」でありたい

本、動画等感想

映画『僕のワンダフルライフ』と攻めるTBS

猫の次は犬、という訳ではないけれど、今度は三度生まれ変わる犬が主人公の映画『僕のワンダフルライフ』を観た。『ボブ・・・』の時の予告編で目にしてはいたが、特に見ようとは思わなかった。ところが、例によってSPYBOYさんの素敵なレビューに接し、しかもラ…

やっと鑑賞『ボブという名の猫』と大型店のオープン

都会に住んでいらっしゃる方々から見れば何を今頃と思われることだろうが、やっと『ボブという名の猫』を観ることができた。 この作品はどうしても見たいと思い、浜松まで見に行くつもりで公開日などを調べる中で、同時期に豊橋のユナイテッドシネマでも上映…

森絵都著『みかづき』はきわめて政治的な物語と読めた

これは、昭和36年の千葉県のとある小学校の用務員室に始まり、その用務員の孫が始めた、貧困家庭の子供を対象に無料で学習の援助をするNPOの話で終わる、およそ半世紀にわたる、教育にかかわるある家族の物語だ。 用務員の大島吾郎は、ある日学習について…

全編が宝石のように美しい『阿弥陀堂だより』

アマゾンプライムで『阿弥陀堂だより』を見た。映像といい物語といい、「美しい!」の一言だ。(注文の際に間違ってプライム契約をしてしまったらしい。せっかくなので大いに利用中) もちろん、この「美しい」に素直な賞賛でなく、揶揄を込める人もいるに違…

この国の在り方を根本から問う『日航123便墜落の新事実』

今年の7月30日に出版されて、昨日私の手元に届いたものは、すでに四刷となっている。著者は元日本航空客室乗務員の青山透子という方だ。2010年には『天空の星たちへ―日航123便 あの日の記憶』という本も出してみえる。 事故で犠牲になった客室乗務員は著者の…

豊川海軍工廠を舞台の小説『ハイネさん』出版記念イベント参加

昨日は友人に誘われ、隣の豊川市の桜ヶ丘ミュージアムという所に出かけた。友人の友人が豊川海軍工廠にまつわる小説を出版し、その出版記念イベントがあるという。 昨日のイベントを紹介した地元紙の記事 地図上で空爆を追体験 | 東日新聞 著者住田真理子さ…

読書の醍醐味『終わらざる夏 上・下』浅田次郎著

題名から、100パーセント戦争を扱った作品だと思う。そして分厚い上下本。「読もう!」と決心するまでにしばらく日にちがかかった。 ところが、読み始めたら止めるのが大変というくらい夢中になってしまった。昭和20年8月15日の玉音放送をはさむ前後数か月ほ…

ドキュメンタリー映画『選挙が生まれる 長野と群馬の挑戦』上映会

今年愛知15区(豊橋・田原)に誕生した野党共闘を進める団体「政治を変える市民アクション@15」の主催で、映画の上映会を行った。作品は震災後ずっと、福島をテーマにドキュメンタリー映画を撮っていらした湯本雅典さんの『選挙が生まれる』。 去年の参院選…

考えさせられる『新・日米安保論』

まず、カバー裏の内容紹介文を引用する。 冷戦終結後四半世紀。以来、国際情勢の変化にもかかわらず日米の安全保障体制は維持されてきた。しかし「今後も守って欲しければさらなる負担を」と訴えるトランプ政権の登場で、日本はアメリカとの安全保障体制の在…

武士なのに弱い笙之介がステキな『桜ほうさら』宮部みゆき著

祇園祭の今夜は打ち上げ花火が上がっていて、ずっとドーン、ドーンという音が響いている。花火の音を聞くといまだにちょっとソワソワする。 私が子供の頃は、まだビルなどの高い建物がなかったので家から花火見物ができた。昭和三十年代の始めのそのころ、豊…

『知らなかった、ぼくらの戦争』アーサー・ビナード編著

以前ユネスコで平和学習の出前授業をしていた頃、戦争体験の語り部がだんだん高齢になって、体調を崩されたり、滑舌や話の内容に問題が生じたりするようになるのを目の当たりにして、きちんと録画して残すなどしないといけないと強く感じた。 広島では被爆体…

苦しい読書とつのるばかりの不信感

先日のじじばばの会の「応援葉書を送ろう」の活動の時に、メンバーの一人から本を分けてもらった。望月衣塑子さんの著書『武器輸出と日本企業』というものだ。望月さんを応援するために何冊かまとめて購入し、周囲の人に薦めているとのこと。今は本もあまり…

辞書編纂の巨人二人の物語『辞書になった男』佐々木健一著

三浦しをんさんの『舟を編む』が、本屋大賞を受賞したリ映画化されたりして話題になったころ、「ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男~」として、NHKBSプレミアムで番組が放送されたそうなので、ご覧になった方もいることと思う。その…

大田元沖縄県知事の戦争写真集と映画『ハクソー・リッジ』

数日前の拙ブログ「ヒルデおばあちゃんの戦争体験」を読んでくれたからか、友人が元沖縄県知事大田昌秀氏編著の『これが沖縄戦だ』という本を持って来てくれた。私は今日、沖縄戦を描いた映画『ハクソー・リッジ』を観に行くつもりで、昨日のうちに上映時刻…

朱川湊人さんを頼ったら、期待以上だった『オルゴォル』

昨日私は気持ちがどうしようもなく落ち込んでしまって、音楽に頼ったり本に頼ったりした。先日『幸せのプチ』でほのぼのさせてもらった朱川さんの本なら、きっと慰められるだろうと、ちょうど市民館の書棚に並んでいた『オルゴォル』を手に取った。 著者を信…

ささやかな幸せを感じる『幸せのプチ』朱川湊人著

大阪万博の頃から東京スカイツリーが話題になる頃までの、都電の走るある下町の片隅の物語。ニュースになるほどの大きな出来事はないけれど、そこに暮らす人たちにとっては毎日さまざまなドラマが繰り広げられる。そこから6つの物語を掬い取って、心温まる…

京極夏彦著『書楼弔堂 破曉』弔堂主の脳内キャストは木村草太さん!

先日『炎昼』を読み、面白くて第一巻の『破曉』を読んだ。順序が逆になったが、ほとんど問題なく楽しむことができた。 yonnbaba.hatenablog.com この巻に取り上げられた人物は、絵描きや物書きといった文化人だ。そして、その中に一人だけ意外な人物が入って…

『難民高校生』仁藤夢乃著―絶望社会を生き抜く「私たち」のリアル―

著者は現在27、8歳で、どこにも自分の居場所がないと感じているような若者を、大人や社会につなぐ仕事をしている。この本は、かつて月のうち25日は渋谷の盛り場で過ごしていたという著者が、一人の大人との出会いで立ち直るきっかけをつかみ、現在のような生…

浅田次郎著『天切り松闇がたり 闇の花道』は、絶滅したかもしれない粋でいなせな闇の世界の物語【写真を追加】

『黒書院の六兵衛』以来の浅田次郎さんの作品。『黒書院・・・』を読んだのはほんのちょっと前のような気がするけれど、読書記録を見てみると昨年の6月だったので、約1年ぶりだ。あちらは比較的最近の作品だったが、この『天切り松闇がたり』は20年ほど前に…

武田花さんの猫写真集『猫・陽のあたる場所』

武田花さんは武田泰淳・百合子ご夫妻のお嬢さん。お嬢さんと言っても私と同じ1951年生まれなので、はや前期高齢者に入れられるお年であるが。まあ、何歳になろうとお嬢さんはお嬢さんである。 『猫・陽のあたる場所』は、その花さんがまだ三十代の頃に出版さ…

歴史上の人物に魅力的な肉付け『書楼弔堂 炎昼』京極夏彦著

この作品はシリーズ物で、この前に『破曉』という作品があるらしい。ならば、このあと夜を副題にした第三巻が出るのだろうが、『破曉』から『炎昼』まで3年間あるので、次巻の出版は2019年あたりになるのだろうか。 実は私は先の作品を読んでいないのだけれ…

申京淑(シン・ギョンスク)著『母をお願い』は、絶滅ちかい「おふくろ」の物語

「この小説のなかには私と、私の母親がいる。あなたと、あなたの母親がいる。そうして私たちは母というものの、途方もない大きさを、恐怖にも似た畏敬を持ってあらためて知るのである。」この本の帯に書かれた角田光代さんの言葉である。 この物語に描かれて…

映画『ムーンライト』と嬉しい到来物ラッシュ

SPYBOYさんの素晴らしい映画評に魅せられて、遅ればせではあるけれども、『ムーンライト』を鑑賞してきた。 あらすじやこの映画をめぐる制作陣の話とブラッド・ピットの男前すぎるエピソードなどは、ぜひ素敵なSPYBOYさんのブログでお読みいただきたい。 d.h…

女の生き方を考えさせる『笹の舟で海をわたる』角田光代著

男性の影の薄い物語である。主人公左織の夫、その弟、主人公の息子・・・と、男性登場人物も決して少ないわけではないのだが、なぜかみな存在感が薄い。 主人公左織は大学で文学を教える夫のもと、専業主婦として六十代まで生きて来た。義妹の風美子と、寡婦に…

『海賊女王 上・下』皆川博子著は400年後もめったにいないハンサムウーマン!

若い頃の読書ではむしろ翻訳物を好んで読んだけれど、近頃は一晩寝ると昨日までの筋や登場人物を忘れることもあり、カタカナの名前は覚えるのがなお大変ということもあり、外国が舞台の作品は敬遠気味だ。 それなのに、この作品は、そもそも上下巻がそれぞれ…

『カズサビーチ』山本一力著は、ペリーより先に日本に来たアメリカ人船長の話

山本一力さんと言えば時代物と思っていたので、市民館の新刊コーナーでこの本を見つけた時、「えっ、山本さんが現代物?珍しい」と思い手に取った。パラパラと中を見ると、やはり江戸時代のお話だったが、面白そうだったので借りることにした。 山本氏は、平…

こんな映画が見たかった!『ラ・ラ・ランド』

この間『スノーデン』を見た時の予告編で『ラ・ラ・ランド』を目にし、これは絶対見よう!と心に決めていた。どんなストーリーなのかも知らないまま、2月24日と封切り日をしっかり頭に刻み、初日に見ようと決めていた。 昨日の金曜日はコスモス会の日なので…

不思議な読書空間『焼野まで』村田喜代子著

朝日新聞の連載小説『人を見たら蛙になれ』で知ってから、何冊かこの著者の作品を読んだ。今まで、はずれはない。前回読んだのは『屋根屋』だったと思うが、これが夢と恋のファンタジックな話だったのに対して、今回の『焼野まで』は全編に死が漂っている話…

残酷で美しい物語『蝶』皆川博子著

書評などで「美しい文章」と評されているのに惹かれて読んでみると、案外に美しげな表現が多いだけで、自己陶酔的傾向の強さに辟易して、我儘な私は往々にして読み通すことができなかったりする。 けれども、この『蝶』は本当に美しい文章だと思った。美しげ…

映画『ザ・トゥルー・コスト』を見て考えるファストファッションの真の代償

先週、友人に誘われて、先日『日本の青空』を見に行った田原市のMEGURIYAさんにまた映画を見に出かけた。今回は『ザ・トゥルー・コスト』という服飾業界の裏側を追ったドキュメンタリーだ。 映画は美しいモデルたちが、ファッションショーでランウェイを颯爽…