よんばば つれづれ

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話した、話した!

20年以上前に独立で家を出てから、初めての三泊の帰省を終えて次男が帰っていった。

 

一人での外食が苦手な私は、この時とばかり大好きな割烹ゆうしゅんさんに出かけたり、寿司やパエリャのデリバリーを利用したりで、このところ相当頑張ってやっと1キロ落とした(超燃費の良い身体なので、1キロ落とすのも大変)体重が、あっという間に1.5キロ増えてしまった。筋トレ・ストレッチも休んでしまったし、またコツコツ頑張らなければ・・・。

 

このブログにも時々書いているが、次男はかなりの理不尽労働の職場にいた。私は以前からさっさと辞めて別な仕事を探せばよいのにと思っていたが、本人は、いったん働き始めると腰を据える性格のため、電話のたびに愚痴りながらも頑張っていた。

 

職場にしろ人間関係にしろ、情に流されてきっぱり切るということがなかなかできない次男なので、今回はあまりにひどい経営者に対してはさすがに割り切るだろうが、自分のもとで働いている若い人たちへの情にからめとられそうで心配だった。

 

ところが、部下をかばったことをきっかけに突然の降格転勤処分が下り、かえって辞める踏ん切りがついたようだ。我が家にいる間も、ひっきりなしに職場の人たちから連絡が入って返信に追われていたが、その対応を縫うようにして私とも大いに話した。仕事の話が中心だったが、なにしろ今までにない三泊四日という長丁場だったので、それ以外にもさまざまなことについてじっくり話すことが出来た。

 

バンド活動にのめり込んで十年以上の回り道をし、不惑の年を過ぎても大したキャリアらしいキャリアもない次男だけれど、本人なりに確固たる信念や美意識を持ち、地位や財産とは縁遠い人生を、楽しんで生きているようだ。できることなら、もう少しまともな職場に巡り合い、大切な人との日々の平凡な時間を味わう余裕が持てたらと思う。

 

バンドをしている頃、彼の作った曲の歌詞の一節。

♪ どうせならこんなふうに

些細なことを喜んでみたりして

どうせならこんなふうに

不運なことを笑い飛ばしたりして

 

晴れ 洗濯日和の乾いた空に

ひとすじのひこうき雲

大きいマンションのテラスに

いろんな色のTシャツが揺れている

 

退屈な毎日は

平穏な毎日と

呼ぶことに今日からしよう・・・♪

 

 

こんなのどかな休日の時間を、どんな職場のどんな労働者も、当たり前に持てる社会になりますように・・・。

 

 

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『雨のち晴れ、ところにより虹』吉野万理子著

夫婦、母娘、女友達、初恋の人・・・など、大切な人とのちょっとした心のすれ違いと和解を描く6つの短篇集。第五話の『ブルーホール』だけが少々趣が異なるけれど、そのほかの作品には、共通の人物がさりげなく登場していたりして、鎌倉や逗子を舞台にして、同じような時間にその場所で生きている人々の、暮らしの断片を切り取った物語になっている(『ブルー・・・』にも他の作品と共通と思われる自然現象の描写がある。そういうものを探しながら読み返すのも楽しい)。

 

血にまつわる描写が少々私の苦手な部分だが、小学校時代の初恋の二人を描いた表題作、『雨のち晴れ、ところにより虹』は特に良かった。ヒロインが100キロもあろうかと思われる体型なので特殊メイクが必要になりそうだけれど、映像化しても良い作品ができそうな気がする。

 

そして、それ以上に心を動かされたのが、最後の『幸せの青いハンカチ』だ。大学時代に卓球を通じて知り合った佳苗と佐和子。共学校から入学した佳苗と、小学校からずっと女子校で育ち、エレベーターで進学してきた佐和子とは、環境の違いはあるがなぜか気が合い、親友の付き合いをしていた。

 

佐和子の結婚式で友人代表としてスピーチをする段になって、新郎側の友人のスピーチの一節から、香苗は親友だと思っていたのは自分のほうだけだったのだろうかと疑問を抱く。式のあと花嫁の意表を突く大胆な行動で・・・という展開で、佳苗にも佐和子にも好感を持ち、すっかり感情移入していた私は、心地よい感動に包まれた。

 

なんだか日々心がザラザラするようなニュースが多く感じて、本を選ぶとき知らず知らず、安らぐもの、優しくなれるものを求めている。題名に惹かれて選んだ知らない作家の作品だったが、「当たりを引いた」気分で嬉しい。

 

 

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チャリティー・アート展追加

昨日の記事に、2つのグループ合同のミーティングと書いたが、誤りで、3つだった。スタンディングと、前川さんや伊藤詩織さんや望月記者への応援葉書のキャンペーンを行ったじじばばの会と、そして「スイミー(仮)」だ。

 

そうは言っても、”言い出しっぺ”と私はその3つ全てに入っているし、じじばばとダブっている人も2人いたので、実質の人数はそんなに多くはない。でも、初対面のメンバーが何人かいて、自己紹介から始まったのは久々のことだった。

 

そして昨日アップしなかったが、チャリティー・アート展のフライヤーも出来上がってきている。

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左が表面で右がワークショップ紹介の裏面。一般の方へのPRはこれからなので、関係者で一部すでに申し込んでいる人もいるけれど、どのワークショップもまだ十分空きがある・・・と言っても、ブログをご覧の方で豊橋まで足を運べる方はほとんどいらっしゃらないだろうけれど。

 

それから、だいぶ前に紹介した原発アンケート。

 

yonnbaba.hatenablog.com

 

これが、現在1000枚超集まっている。まだ手元に持っているメンバーもいるし、まだまだ今月いっぱいくらいは実施するつもりだ。アンケートをたくさん集めるというより、それをきっかけに原発や、世の中のことを話すことのほうに重点を置いて・・・。

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春頃から構想に入り、まだまだと思っていたが、もうあさってから10月。いよいよチャリティー・アート展の宣伝や準備も本格的になる。

 

爽やかな二人の恋に拍手『これは経費で落ちません!』

今日は11月のチャリティー・アート展にむけて、”言い出しっぺ”が関わる2つのグループ合同のミーティングを行った。

 

今まではほとんどの企画をスタンディングが主導してきたけれど、もう一つのグループ(今のところ「スイミー」という仮の名をつけている)は、40代や50代の、少し若いメンバーがいるのと、スタンディングのほうにはすでに政治活動という「色」が付いてしまっているので、そのイメージにとらわれて欲しくなくて、今回は意識的にこちらを前面に出そうと試みている。

 

今までの展示だけだったPeace展と違って、今回のアート展は10人以上の出品者の作品を販売するうえ、会場で9コマのワークショップも開催するので、お金の管理が少々煩雑になる。今日は期間中の会場の当番を決めたのだが、そのことでいささか紛糾気味になったが、なんとかまとめることができた(ちなみに、私は11月12日(火)の午後、15日(金)の午前、最終日16日(土)の朝から終了までは、会場にいる予定になっている)。

 

一人で家にいてももちろん嫌なニュースは目に耳に入るけれども、こうして仲間に会うと、さらにさまざまな問題が話題に上がり、もう何をどうすればいいの?!という気分になる。あいちトリエンナーレの問題も大変な展開を見せていて、今回ばかりは大村知事を大いに応援し励まさねば・・・と思うけれど、ちょうどこのチャリティー・アート展の準備も本格的になる時期なので、どうしたものかと考えている。

 

そんな頭の痛くなることの多い生活の中で、毎週金曜日の夜10時(私は録画で見ていたが)、NHKのドラマ『これは経費で落ちません!』は実に爽やかだった。舞台となった会社は、いまどきこんなにのどかで生き残っていけるのだろうかと心配になったが、案の定、後半ではきな臭い企業買収の話が出てきた。ヒロイン始め社員一丸となってなんとかめでたしめでたしで収まった。今後あの会社が、社員を大切にする温かさを残しつつ、合理的に無駄を省いて繁栄していくことを切に願う。

 

あんな会社で働きたい(お局様と高慢な秘書はいらないが)と思わせる職場の描き方も良かったが、何より爽やかで気持ちよかったのは、ヒロインと彼女にまっすぐな愛を捧げる営業部員太陽君の若い二人だった。

 

全く恋愛経験のないうぶなヒロイン森若さんが、キスくらいは許さないといけないかと思って無理をした時、彼女の頭をポンポンと叩いて「ゆっくり行こう」と言った太陽君。これこそが相手を本当に大切に思う者のとる行動だ。特別「イケメン」ではない太陽君だが、彼の愛する人への行動や言葉は素晴らしく、私の心に深く残るものになった。もちろん、ヒロイン森若さんは、多部未華子さんの魅力と相まって、仕事に対するきりっとした姿勢とプライベートのちょっぴり「天然系」のギャップも魅力的で、太陽君に負けず劣らず印象的なヒロインだった。

 

地味であまりスポットの当たることがなかった経理部を舞台に、領収書や請求書を扱って、サスペンスでもないドラマができるのだろうかといぶかりながら見始めたが、みごとに楽しい作品になっていた。これも原作はコミックだという。

 

 

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温活ドリンク・インビザライン、いろんな途中経過

 

今日の日本語教室は生徒さんの欠席が重なり、教わるほうは1人で教えるほうは6人だった。もちろんそのたった1人を6人で取り囲んだらこわいかもしれないので、2人が担当し、残りの4人はフリートークになった。

 

その4人でのおしゃべりの輪の中に70代の男性が1人いるので、ちょっとお気の毒だった。おばさん3人(1人はまだ「おばさん」にくくっては気の毒な気もするが、まあ3人のお子さんのママだし、ご勘弁願おう)寄れば、いつの間にやら、どこに新しいちょっとおしゃれなスーパーができたの、食パン専門のパン屋さんがまた開店したのといった話に花が咲いてしまった。

 

9月も最終週で、もうすぐ私は術後1年の定期検診を迎える。元通り、というわけにはいかないが、それでも7割か8割がたはもとの生活レベルに戻ったと言えるだろう。時間の経過とともに、少しずつ痛みや違和感が変化する。

 

正月頃はまだ立ち上がる時に痛みが走ったが、だんだんそれが消え、代わりに夏の初めあたりは、人工関節の入った右足全体が、鉛でできているかのように重く感じていた。それがなくなった今は、立ち上がった時に、傷口を中心に右半身が強く引きつれるような感じがある。けれども去年の今頃の痛みと不自由な生活を思えば、とても文句は言えない。それに、この引きつれ感もいずれなくなるのではないかと思う。

 

2月の終わり頃から始めた「温活ドリンク」はまじめに飲み続けて7か月になるが、朝一番の検温はいまだにほとんど35度台(前半もしばしば)ばかりだ。30分もかからない程度のものではあるが、ストレッチを含む筋トレも、ほぼ毎日している。豆乳はそもそも体に良いのだから、体温上昇の効果が見えないと短気を起こさず、これからも飲み続けるつもりだ。

 

インビザラインは15段階の10番目まで進んだ。先週の受診時に9から12までの4種類のマウスピースを受け取ったのだが、その12番目を見ると、もうかなり歯の並びの凸凹がなくなっていて、これなら最後の15番はどんなになるだろうとワクワクする。

 

ポットラックパーティーを欠席したり、せっかくランチに誘われても断らなければならなかったり、何より歯磨きだけでも面倒なのに、さらにマウスピースの手入れまで加わって、一日の歯にかける時間はかなりのものになったが、効果が実感できるので嬉しい。

 

しかしそれにしても、面倒くさがりの私には、毎日が日曜日で時間の余裕のある時でよかった。自分が経験してみて、大河ドラマ(2014年の『軍師官兵衛』)出演中にこの歯列矯正をしたという高橋一生さんのすごさに改めて感心する。今季話題になったドラマ『凪のお暇』では、一生さんが大泣きするシーンが多かったが、大きな口を開けて泣く姿も魅力的だった。『ごんぞう』の頃の歯並びだったら、ああはいかなかったかも知れない。いや、私は魅力的な笑顔・泣き顔のためではなく、将来を見越しての噛み合わせ改善のためにしているのだけれども・・・。

 

 

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アタシの歯並びはどうかニャ?      (ウェブサイトから拝借)

 

心地よい端正な超短編集とエッセイ『空の冒険』吉田修一著

直前に読んだのが、数年前に本屋大賞を受賞した作家の近刊で、これが受賞作とは作風が違うのかも知れないが、小学生か中学生の作文のようなしろもので、いちおう途中離脱はせず読み通しはしたものの、読み終わったときは変な疲れ方をしていた。

 

そのあとで本書を手に取ったので、ああ、文筆家の文章だ!と感動した。ANAグループの機関紙『翼の王国』に連載された短編小説12作と、エッセイ11作が収録されている。航空会社の冊子ということにちなんでか、ほとんどが何かしら旅につながった物語だったり文章だったりする。

 

12の小説はすべて11、2ページのごく短い作品だ。大きく物語が動くことも、激しい感情が描写されることもなく、登場人物たちもみんなどこにもいそうな人たちばかりだ。それなのに、物語を一つ読み終えるごとに、なにかしみじみとして静かな感動が心が満ちる。丁寧に作られた上品な砂糖菓子のようで、大切にゆっくり味わいたい気分になる。

 

エッセイの最後に「『悪人』に出会う旅」という文章があり、そういえばテレビでこの映画を見たなと思いだした。妻夫木聡さんと深津絵里さんの好演もあって、なかなか良い作品だった。そうか、ああいう物語を書く方なら、やはり心優しいわけだと、本書を読んで感じた著者の人柄と映画の世界とが気持ちよく融合した。

 

 

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ETV特集『辺野古 基地に翻弄された戦後』と昨日書き忘れたもう一つ

録画しておいたETV特集を見た。昨日の講演会の会場でも案内があった『辺野古 基地に翻弄された戦後』だ。

 

島民の四人に一人が犠牲になったという沖縄戦に始まって、終戦後も27年間もアメリカの統治下におかれ、土地は勝手に接収されて基地を作られ、ベトナム戦争が激しくなればその基地をさらに広げられ、戦争が終われば多くの米兵が帰還し、荒廃した町が残った。しばしば女性や子供がアメリカ兵の暴力の餌食になるが、犯人は地位協定に守られる。

 

1995年、米兵の婦女暴行事件をきっかけに基地反対の運動が盛り上がるが、県民投票をしようと何をしようと、相手は巨大な力で重要な住民を懐柔して人々の分断を図る。反対する人は近隣の人とさえ気まずくなり、どっちみち基地建設を止めることなどできないのなら、最終的につぶされる前に、より有利な条件で受け入れた方が得策だと考えざるを得ないようになっていく・・・。

 

沖縄に限らず、日本各地に不条理な苦難を押し付けられた地域があるけれど、沖縄ほど長い間苦しめられているところもないだろう。それでも、本当にその選定が妥当であるのならまだしも、当のアメリカも沖縄でなければならないと考えているわけでもなく、しかも現在土砂を投入している場所は、軟弱地盤があって工期も費用も予定が立たないという理不尽さだ。そんなことのために豊かな海を失う住民の人たちは、どんなに腹立たしく、また悲しいことだろう。

 

 

昨日の元山さんの講演会で、沖縄の人たちは中国や朝鮮半島の脅威を感じているかという質問があった。それに対して元山さんは、実際問題として尖閣など漁師の人たちも燃料費がかかりすぎてあんなところまで出かけないし、それらの脅威より米兵の脅威のほうが、よほど日々身近に感じていると仰った。このことも深く胸にささったのだけれど、うっかり昨日は書き忘れてしまった。

 

基地の騒音に悩まされることもなく、日常的に日本の法で裁けない犯罪におびえることもなく暮らせている幸運な私たち。どこかで何かが違っていたら、自分の地域が背負わなければならなかったかもしれない重荷を、沖縄の方たちが背負い続けている。このことを、自分のこととして考えていかなければと思う。

 

 

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                ミースケ(@wTIRrawabAWm4Pg)さんのツイッターからお借りしました